ヨウ素131が1Bqあると何Svなのか計算してみた

1Bqは、一秒間に一個の放射性核種の崩壊にあたる。ヨウ素131の崩壊で、体内に熱量が残るのは606keVのベータ崩壊になっている。
(ほかのベータ崩壊はこれより少ないエネルギーなので保守的な推定をするという意味で無視、ガンマ崩壊は、まぁ体にとどまらないから無視。)
本当はニュートリノがエネルギーを持って逃げるので、平均は190keVであるとのこと(ウィキペディア英語版)。この値を使おう。

1eVは1.602*10^(-19)J (ウィキペディアより)なので、
ヨウ素131が一個崩壊すると、190 keV = 3.04*10^(-14) J の熱量が体内に残るということになる。

で、今、Svの定義は、(放射線が人体に与える影響の係数)*(組織1kgが放射線から受けたエネルギー(J))ということで、ベータ線の場合は、、(放射線が人体に与える影響の係数)は1になる。
日本人の平均体重は、まぁ60kgくらい?と思って、1Bq食べたものが全身にくまなく分布すると思うと、さっきの数字を60で割って5.1*10^(-14)Sv/s = 1.8*10^(-10) Sv/h ということになる。(この辺いい加減。本当は放射線が影響する部位を考えて計算しないといけないと思う
 ←桁とかいろいろ間違ってたよ、、。

で、今、Svの定義は、(放射線の種類によって違う人体に与える影響の係数(放射線荷重係数))*(各組織が受ける放射線の影響の係数(放射線荷重係数))*(組織1kgが放射線から受けたエネルギー(J/kg))ということで、今、放射線荷重係数は1となっている。ヨウ素131は全部甲状腺に集まると思って、組織荷重係数は0.04ということで、甲状腺の重さはだいたい20gらしいから、1Bqのヨウ素で0.04*3.04*10^(-14)/0.02 Sv/s = 6.1*10^(-14) Sv/s になりそう。

次にヨウ素131がなくなってしまうまでの吸収線量を考える。ヨウ素131は半減期が8日なので、これを考慮して、ヨウ素131が全部なくなるまで、全部のベータ線が吸収されたとすると、
(∫(1/2)^(t/T)dt (T=8日=192時間=691200s) を、t=0からt=∞まで積分すると、だいたい10^6となるので)
10^6 * 6.1 *10^(-14) Sv/s = 60nSvという感じ。

(注:代謝を考えると影響を受ける期間はもうちょっと短くて、http://web.engr.oregonstate.edu/~hambydm/papers/benke.pdfによると平均寿命を(?)3.2日程度で見込めばいいらしい。(甲状腺に入ったヨウ素が排出されるまで約120日であり、単純計算した生物学的半減期(1/120 + 1/8 = 1/7.5)は7.5日となるが、すべてのヨウ素131が甲状腺に入るわけではないため)1Bqのヨウ素131の取り込みに対して、50年間で3.2Bq日の被ばくがある(10/17修正)。なので、10^6の代わりに、3.2×24×3600=2.8*10^5を使うのがより正しそうな感じ。こっちで計算すると17nSvくらい。組織荷重係数に最新(2007年)の数値ではなく1990年の値0.05を使うと、21nSVだから、ほとんどあってるな。)

で、ここらあたり(Wayback Machine経由)で答え合わせすると、ヨウ素131の1Bqは22nSvに相当と書いてある。だいたいあってる。
だけれども、
http://web.engr.oregonstate.edu/~hambydm/papers/benke.pdfここを参照すると、0.5μSv弱になっている。先に組織荷重係数をかけたせいかな?組織荷重係数の0.04かけてなければ自分の計算結果は1.5μSvくらいなので、妥当な線なのかなぁ、と思う。血液から甲状腺へのヨウ素の流入、流出とか考えればもうちょい減りそうな感じだし。(これ、適当なことを言ってますよ。)

さて、22nSvだと思うと、東京都の浄水場では200Bq/kgくらいでたというから、これをSvに直すと、、、4μSv/kgくらいか。
1年飲み続けても2mSvくらいかな。理科年表によると、平均で1年1.6mSvほど体内被曝しているとかかいてあるので、まぁ問題ないのかも?ちょっと引っ越したり、飛行機でいろいろ飛び回るくらい?

雨が降ってちょっとあがっただけだしね。

これ、間違ってたらだいぶ恥ずかしいなあ。 (編集前のは恥ずかしかったような気もしつつ、、、。)


ここhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/990401f.htm(web.archive.org へのリンク)とか
ここhttp://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Data-Code-2010-020.pdfを見て記事をなおしました。

ただ、これhttp://www.jrias.or.jp/report/pdf/1_1_5_1j.pdf(リンク切れのため差し替えました。)をよむと、放射線による甲状腺への影響は疫学的によく調べられているらしいから、20nSv/Bqというヨウ素131の線量係数は信頼できるんでしょう。

話はちょっと違いますが、ここhttp://d.hatena.ne.jp/T-norf/20110321/Radiogen2も参考になりました。空気中何μSv/hとか言っているときに、呼吸における内部被ばくをちゃんと考慮しろとの指摘。確かに。

自分が計算しようとしていたことはここに、個体差の不確実性まで考慮されてだいぶきっちりと計算されていました。英語だけど。
http://web.engr.oregonstate.edu/~hambydm/papers/benke.pdf
血液と甲状腺とほかの組織で分けて微分方程式を解くらしい。ちょっとこれをじっくり読む元気はないにゃ〜。


似た計算をしている人がいたのでリンク。考察が参考になる。http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/d9b01d71ba0d3d3722081f6c93743cf9

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